楽天が、ロッテ涌井秀章投手(33)を金銭トレードで獲得することが18日、分かった。

早ければ19日にも発表される。先発投手を補強したい楽天と、若手の先発投手が育ちつつあるロッテの思惑が一致した。プロ15年で133勝を積み上げ、3度の最多勝に輝いた沢村賞右腕が新天地へ移る。

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1年間の取材を通して、涌井のおとこ気を感じる場面があった。

気になったことを取材すると「俺が答えるのは簡単だけど、それじゃ意味ない。お前もプロなんだから、俺の周りを取材して、自分なりの答えをぶつけにこいよ」と言われたことがある。気にくわないなら「特に理由はない」などと言い、流すこともできたはず。記者を指導する筋合いはないが、取材の筋を教えてくれたのだと受け止めた。

また、再調整を命じられることになる7月31日のオリックス戦。初回、味方のミスが失点に絡んだ。いつも以上に気合が入っていると感じ取材すると「若手がミスした時は特にそう思うね」と、いらだちを見せることなく、味方の反撃を信じて投げ続けたことを明かしていた。

普段は「大丈夫。間に合ってます」が多い。「こっちが間に合ってないから取材しているのですが…」と思う。それでも登板後は必ず、丁寧に取材に応じる。一般的なイメージは「クール」「素っ気ない」かもしれない。本当は芯の太い、熱い人。そんな人柄がプレー以外でも評価されていると思う。【久永壮真】