国内各所で非常事態宣言が出され、新型コロナウイルスの影響は企業だけではなく、国民の家計を直撃し始めている。飲食店やレジャー関連業に勤める人はもちろん、さまざまな業種、職種に影響は及んでいる。
家計簿ソフトのマネーフォーワード MEを提供するマネーフォーワードが、4月10日にオンラインで行ったユーザー向けイベント「今知りたい、お金のこと」では、その実態が語られた。イベントの講師を務めたファイナンシャルプランナーの横山光昭氏(マイエフピー代表)は、現在の状況をこう語る。
「特に飲食業をやっている方は、本当にたいへんな状態。全体でも、顧客のうち8割くらいの人の収入に影響が出ている。職場が閉鎖されるなど、仕事が全然ないという人も3割くらいいる。過去のリーマンショックでも、ここまでではなかった」
「正直、1年続いたら厳しい」
イベントの参加者も、窮状を訴える。飲食業やレジャー産業以外の企業に勤務している人でも、影響がジワリジワリと現れてきている。
「現在は、まだ給与が下がったりはしていないが、リモートワークになっていて、営業にいけていない。インセンティブ報酬体系なので、受注がないと給料が減ってしまう。半年くらいなら、なんとか耐えしのぐことができるかもしれないが、正直、1年続いたら厳しい」
そう話すのは、外資系メーカーに勤めるAさん(既婚、31歳、男性)だ。もし外出自粛が解除されても、給与が目減りしていく中では、消費を抑えざるを得ないと話す。
「長引いたら、レジャー、趣味で使っているお金は減らしていかなくてはならない。プロ野球観戦が好きだが、球場にいく回数を減らしたり、飲み会の回数も減らさなければならない」
横山氏は、「リモートワークで残業代が付かなくなりました、とか、飲食業の人では閉店せざるを得なくなったとか、話を聞く。特にイベント系事業の人からは本当に大変だ」と、顧客の悲鳴を話した。
給与が不安定な中、物価上昇も
すでに収入に大きな影響が出ている人もいる。旅行系企業でエンジニアとして働くBさん(未婚、28歳、女性)は、13日週から会社が休業になる予定だ。
「来月から収入も半減。失った収入を戻すべく、副業を探しているが、短期副業は見つからない。自宅で休業になったので、外でお金を使うことがなくなった。食事にもあまり使わない。消費するお金はめちゃめちゃ減りました」(Bさん)
リモートワークなどに移行した人では、外出が減ったために従来の支出が減る一方で、自宅にこもることで、いわゆる「巣ごもり消費」と呼ばれる消費の変化が起きている。外食産業が打撃を受ける中で、日々の食料品を買うスーパーは大賑わいだ。
横山氏は、「食費とか日用品の値段が上がっているし、家にいえば光熱費もかかる。買い物袋も4月から有料になった」と、日常生活のコストがじわりじわりと上がってきていることを指摘した。
マネーフォワード取締役の瀧俊雄氏も、「世界中でモノを作る能力が下がっている。中国からの輸入はすごく減った。世の中の品物は、国産ではないものでいろいろ作られているので、輸入するモノの値段が上がると、インフレになる要素も出てくる」と、中期的な経済への影響を懸念した。
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