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【BOOKS】瀧口美香『キリスト教美術史』ルネサンス絵画だけではない!100点以上のカラー図版とともに壮大な… - 読売新聞社

「キリスト教美術」と聞いて、アートファンの頭の中にまず思い浮かぶのは、カラヴァッジョ、ルーベンスといったルネサンス以降の巨匠が描いた宗教画かもしれません。ですが、この本を読むと、そうした宗教画はキリスト教美術の長い歴史の中のほんの一部分にすぎないことがよくわかります。瀧口美香 著『キリスト教美術史 東方正教会とカトリックの二大潮流』(中公新書)では、ヨーロッパ各地にあらわれたキリスト教美術について、3世紀頃に始まる初期キリスト教美術からバロックまで時系列順に紹介。聖書の内容や歴史的な文脈を踏まえながら、各時代の代表的な作品をカラー画像つきでやさしく解説していきます。

※写真は許可を得て掲載

第五章 ロマネスク美術 pp.104-105

一番の見どころは、ルネサンス以前の古代・中世の作品群です。ローマの地下墓所に描かれたプリミティブな壁画、カロリング朝・オットー朝時代の金・銀・宝石・象牙などをちりばめた豪華な装丁板つきの装飾写本、ロマネスク建築の大聖堂に彫り込まれた中世の石彫。日本ではあまり知られていないキリスト教美術が次から次へと繰り出され、知的好奇心を大いに刺激してくれます。

第四章 ビザンティン美術 pp.74-75

また、他の西洋美術史の入門書ではほとんど記述のないビザンティン美術を掘り下げて紹介しているのも本書の特徴。4世紀末、ローマ帝国が東西に分裂したことで、キリスト教も西のカトリック、東の東方正教会へと枝分かれしていきます。ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロックと時代ごとに大きく変化したカトリック美術に対して、東のビザンティン美術は1000年以上伝統的な様式を守り続けました。ルネサンス時代、イタリアでは遠近法を駆使して聖人たちがリアルに描かれるようになりましたが、同じ頃、スラブの国々では「受胎告知」が逆遠近法で描かれていたのです。

第六章 ゴシック美術 pp.128-129ページ

100点以上のカラー図版がふんだんに使われ、さながら「紙上展覧会」のような雰囲気も味わえます。キリスト教美術の多様な世界観に触れられる入門書として最適な1冊です。

定価1056円。購入は書店か中央公論新社のサイトから各ネット書店にて。

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