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分かち合いが作る豪華な食卓。『恋のスケッチ~応答せよ1988~』|Culture|madameFIGARO.jp(フィガロジャポン) - フィガロジャポン

韓国ドラマによく登場する食事シーンは、主人公たちの心情や、作品のコンセプトそのものを伝える役割を果たす。食材やメニュー、食卓の風景などからもっと深くドラマを理解しよう。


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『恋のスケッチ~応答せよ1988~』の夕飯の場面。集合住宅のある家族の父親が電話で、「家で夕飯を食べる」と伝えると、「いらないと言ったくせに!」と母親。息子にサラダを持たせ、下の階の人にごはんを分けてもらって来いと命ずる。受け取った下の階の母親は、ごはんと一緒にキムチも持たせる。キムチのお礼として牛肉炒めを持って行くと、さらにご近所からカレーのおすそ分け......。気付けば近くに住む父子家庭の食卓まで、"おすそ分け"で豪華な夕食になったというオチだ。88年のソウルを舞台に、ご近所の家族5組と5人の幼なじみが繰り広げるこのシーンは、韓国らしい夕ごはんの原風景。いまは仕事や塾で夕飯の時間が揃わず、こんな光景は見られなくなったが、韓国特有のおすそ分けマインドは現在も変わらない。

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『恋のスケッチ~応答せよ1988~』
韓国の人々の郷愁を誘う「応答せよ」シリーズは「1997」「1994」「1988」の3作作られているが、その中で最も古い時代をフィーチャーした作品がこちら。韓国で初めてオリンピックが開かれた1988年、国全体が高揚感に包まれていた。ソウル市道峰区双門洞の下町で暮らす5つの家族と5人の幼なじみが繰り広げる、愛と友情と人情の物語。
監督/シン・ウォンホ 脚本/イ・ウジョン 出演/パク・ボゴム、リュ・ジュンヨル、ヘリ、コ・ギョンピョほか
©CJ E&M Corporation/all rights reserved.

Text: 伊東順子
1990年に渡韓し、企画、翻訳オフィスを運営する。2017年に同人誌「中くらいの友だちー韓くに手帖」(皓星社刊)創刊。著書に『韓国カルチャー 隣人の素顔と現在』(集英社刊)、7月には第2弾を発売予定。

*「フィガロジャポン」2023年9月号より抜粋

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