八戸学院光星(青森)が「6番三塁」下山昂大内野手(3年)の中前適時打で7-6と、海星(長崎)にサヨナラ勝ちし、14年以来5年ぶりのベスト8進出を果たした。いきなり3点失点したが、近藤遼一内野手(3年)の右翼ポール際への2戦連続弾や、太山皓仁捕手(3年)の甲子園初本塁打などで逆転。一時は同点とされたが、最後は開幕戦で満塁弾を放った男が決めた。18日の準々決勝では明石商(兵庫)と対戦する。

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開幕戦で「令和1号」となる左越え満塁本塁打を放った下山が、再び甲子園のヒーローとなった。先発メンバー唯一の青森県人。6-6で迎えた9回裏1死満塁、詰まりながらも中前に運び、サヨナラ8強を決めた。

9回1死後、近藤が豪快な左前安打で出塁した。原瑞都外野手(3年)が四球で続き、大江拓輝外野手(3年)が右翼前安打を放つも、三塁コーチがストップ。同じ弘前市出身の西武外崎修汰内野手(26)に憧れる下山が仲間の期待に応えた。

毎年オフには実家が近所の外崎と食事して、士気を高めている。最高の正月が大舞台での力を生んでいる。「外崎さんを目標に、甲子園出場を目指し、3度目の大舞台で開幕戦ではホームランも打てた。これからも本塁打を狙うのではなく、どんどんチャンスでヒットを打って、東北に初めて優勝旗を持って帰りたい」。自主練習では外崎からプレゼントされた木製バットで素振りを繰り返す。手のマメを何度も潰してきた勲章の両手で、殊勲の一打を放ち、一塁塁上で拳を何度も突き上げた。

近藤の2戦連続弾で反撃が始まった。0-3の1回裏2死。甲子園の浜風の逆風の中でも外角直球を放り込んだ。「とにかく大振りをせずに、しっかりとミートして強い打球。4番として、チャンスの場面に打ちたい」と臨んでいた通りの有限実行。学校のある八戸市の特産にちなんだ「サメ打線」の主砲が、海星投手陣に食らいついた。

3回には無死から太山が甲子園初の右越えソロ本塁打で続いて1点差。2死一、二塁から原の右前適時打で同点とすると、大江の中前適時打で逆転した。4回にも先頭の伊藤大将内野手(3年)が左翼線二塁打で好機をつくると、太山が左越え適時打を放って加点。島袋翔斗外野手(3年)の中犠打で点差を広げた。 8回には1死二塁から山田が中前安打を放つも、二塁走者の伊藤が本塁でタッチアウト。相手捕手のタッチをかいくぐろうとしたヘッドスライディングも、中堅手のノーバウンド送球を捕球した捕手に足にタッチされ、三塁側応援席から大きなため息が漏れた。

苦しみ抜いた勝利で強くなり、勢いは増す。次は同じくサヨナラ8強を決めた明石商と戦う。11年夏から3季連続準優勝した先輩を超え、大旗白河越えも果たす雰囲気が漂ってきた。【鎌田直秀】