昨季終了後に現役引退を決断していた京都サンガF.C.のDF田中マルクス闘莉王は今季、メンバー入りした試合終了後に相手サポーターと向き合い続けてきた。「今まで敵として戦ってきた相手チームのサポーターにも挨拶したいなと」。引退会見ではこれまで声援を送ってくれた人々への感謝も語った。
「今年は最後のシーズンにしようと、消えかかっていた炎を最後のエネルギーに変えて一年やりました」。1日に都内で行われた引退会見、現役引退の決断に至った経緯を明かした闘莉王は報道陣のさまざまな質問を受けながら、サポーターへの感謝を繰り返し語っていた。
「若い時に相手のサポーターを挑発し、ビッグマウスな一面もあり、時には自分のサポーターとも言い合い、喧嘩という言い方はよくないけど、ディスカッションをし、時にはゲキを飛ばし、時にはゲキを飛ばされ、真剣に向き合ってきた」。
「おそらく嫌われているし、僕のことを嫌いと胸を張って言える数多くのサッカーファンはいると思いますが、最後の最後はやっぱり常にリスペクトをしていた。常に勝ちたいと思い、たまに頭に血がのぼり、申し訳ないこともたくさんした。でもその人たちがいなければこの瞬間もないし、サッカーはつまらない」。
そうした感謝の気持ちは今季、リーグ戦の試合後にも表れていた。右目の負傷などの影響で出場機会は限定的だったが、メンバー入りした試合では相手サポーターのもとへ挨拶に行き、頭を下げながら「全クラブのサポーターに頭を下げ、すみませんでしたと、そしてありがとうございましたと言いたかった」という感情を示し続けた。
とはいえ、今季はJ2リーグで戦った身。キャリアの大半を過ごしたJ1クラブのサポーターには再会できず仕舞いとなった。心残りがあるという闘莉王は「今度は機会があればスタジアムに行き、許可がもらえれば、今まで行ったことがないサポーターたちにも頭を下げ、すみませんでしたと、ありがとうございましたを言いたい」と述べ、現役引退後の一つの野望を明かした。
(取材・文 竹内達也)
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2019-12-01 06:51:00Z
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