秩父宮では日本代表主将リーチ・マイケル（31）の東芝が、FB松島幸太朗（26）SH流大（27）のサントリーを26－19で下した。

昨季開幕戦の2倍超となる2万1564人が昨秋のW杯で定着した「リーチ」コールで盛り上がり、松島はトリッキーなアシストパスで沸かせた。代表戦士の対決が見られる舞台がトップリーグ（TL）。冷めやらぬ熱気の中で再出発した。

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リーチの口元がほころんだ。観客席を見渡すと、ほぼ満席。当日券の完売こそ今後に持ち越したものの、昨季開幕戦は9477人だった秩父宮に2万1564人が集まった。「トップリーグ9シーズン目になるけど初めての光景」と驚き、ボールを持てば「リーーーチ！」。W杯の再現となるファンの一体感に「しっかり耳に入っていた。感謝したい」と笑顔になった。

リーチの東芝と松島らサントリーの好カード。第2試合ながら開門前から約1000人が列をなした。準備運動から歓声が上がり「選手として幸せ」と松島。後半7分にサプライズで堪えた。BK陣の左から2人目で受けると、両手で持ったボールを自分の股下を通して背後へ。WTBテビタの同点トライを演出した。

その松島をリーチがタックルで止めると、さらに沸いた。松島が「肉体改造したと言ってたけど思ったより強くなかった。休みぼけがあるのかも」と挑発すれば、リーチは「昨日の友は今日の敵。チームが勝ったのでOK」と応酬。TLは代表戦士の好プレーや対決が楽しめることを示した。

サッカー女子など、他競技も道半ばのブームから文化へ。リーチは「（09年に）W杯開催が決まってから10年。徐々にファンが増えて、うれしい。ただ、ずっと好きになってもらいたい」。質の高いプレーで「にわかファン」をつなぎ留めるため、松島が明かしたように肉体改造に着手していた。ニュージーランドへの帰省中に「肉をやめた。肉を食べると米を食べ過ぎてしまって体がデカくなり過ぎる。1年間、魚だけにして絞っていく」。W杯中は113キロ、静養に専念したオフは105キロ。12月20日に東芝に合流してからは109キロ。「結局、増えちゃった」と笑いつつ「過去は忘れ、ゼロからのスタート」と満足していなかった。

松島も「どの試合でもクオリティーの高いプレーをすること」が人気定着の最低条件と考え「MVPを狙える位置にいく」と宣言した。5月まで全15試合。人気の沸騰を保つための戦いも幕を開けた。【木下淳】