音楽ゲーム「BEMANI」シリーズの楽曲がオーケストラで披露されるコンサート「BEMANI SYMPHONY Concert 2022」が6月12日に東京都・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催された。昼夜2公演が行われたうち、本稿では夜公演の模様をレポートする。
オープニングムービーが流れ、オーケストラの演奏を担当するgaQdanの面々が定位置に着くと、それに続いてタキシードに身を包んだDJ YOSHITAKAが登場。オーケストラの中心に指揮者の台が用意されているものの、この日の公演でオーケストラの演奏を率いるのはDJたち。客席に向けて一礼をしたDJ YOSHITAKAがステージ奥のDJ卓の前に立ち「JOMANDA」をかけ始めると、オーケストラは彼が流すビートに合わせて一糸乱れぬ迫力の演奏でこの曲を再現する。DJ YOSHITAKAとgaQdanは「JOMANDA~VALLIS-NERIA~Lisa-RICCIA」のスペシャルメドレーでオーディエンスを歓迎した。DJ YOSHITAKAに変わりDJ卓の前に立った
猫の仮面を被ったwacは指揮棒を2本手に持ち、“2刀流”でオーケストラの演奏を促す。「murmur twins」の演奏が始まり、ボーカリストの常盤ゆうがステージに現れるとwacのテンションはヒートアップ。最終的に4本の指揮棒を手にして客席のほうを向き、オーディエンスのペンライトの動きを先導した。蝶ネクタイにタキシード姿のSota Fujimoriは「Fly Above」のオーケストラバージョンをプレイ。アウトロではハープ奏者のソロパフォーマンスが組み込まれ、楽曲の雰囲気をガラリと変えたアレンジでこの日限りの豪華な演奏が繰り広げられていった。赤いドレスに身を包んだ
DJプレイとオーケストラの融合を楽しんだライブ前半から一転、ライブ中盤にはゲストピアニスト・Keikoを招き、DJ不在の状態で「量子の海のリントヴルム」「Timepiece Phase II」「Everlasting Message」の3曲が演奏された。ピアノを軸としたこれらの3曲をしっかり弾ききったKeikoは晴れやかな笑顔で客席に一礼し、ステージをあとにした。
Keikoに続きgaQdanのメンバーもステージをあとにすると、ステージ上はDJ TOTTOと事務員Gの2人だけに。DJ TOTTOが流すオケに合わせて事務員Gが速弾きで「海神」を演奏すると、次の出演者・劇団レコードが登場する。アコースティックギターを手に、ステージ中央に座った劇団レコードは事務員Gと「流砂の嵐」をセッション。大編成による壮大なサウンドとは異なるミニマルなアレンジで、音ゲー曲の新たな一面を提示した。wac作曲の「ピアノ協奏曲第1番"蠍火"」の演奏を担当したのは同曲の編曲も手がけているOsamu Kubota。「ピアニストでいてよかったと心から思える曲」とwacへの敬意を口にしたOsamuは、gaQdanの面々とともに壮大なピアノ協奏曲を奏で、観衆からの大喝采をさらった。
この日のコンサートでは「BEMANI」関連のイベントでお馴染みのポップソング「恋する☆宇宙戦争っ!!」もセットリストに組み込まれており、過去のライブでは法被を着てライブを盛り上げていたL.E.D.もこの日はタキシード姿で慎ましく同曲をプレイ。ボーカルを担当したMorinagaは明るく元気な歌声で「BEMANI」シリーズのポップな一面を表現した。ゲストボーカルの霜月はるかとともに登場した猫叉Masterは、DJではなくパーカッションを担当。自身がDTMで作り出したビートをフィジカルで再現するというレアなパフォーマンスでオーディエンスを驚かせた。コンポーザーでありながらボーカリストとしての一面を持つPONはNU-KOと2人で「世界の果てに約束の凱歌を」をデュエット。続く「凛として咲く花の如く」では、この日のゲストボーカルであるPON、NU-KO、霜月、常盤、Morinagaがステージ上に集結し、5声を重ねる壮大なハーモニーで観客を魅了した。
ライブ終盤、本編最後の曲の前にdj TAKAが登場。ゲストピアニストの瀬戸一王をステージに招いたdj TAKAは「初期、中期の『beatmania IIDX』を代表する曲を」というひと言から「冥」の演奏をスタートさせる。クラシック音楽の要素を自身の楽曲に取り入れることを積極的に行ってきたdj TAKAはオーケストラとのコラボを喜び、大音量でビートを流しながら体を大きく動かしてgaQdanや瀬戸との共演を楽しんでいた。
アンコールに応えて登場したdj TAKAが「天空の夜明け」をかけ始めると、gaQdanを率いるTaQがヴァイオリンを弾きながら登場。「天空の夜明け」で始まった演奏は、dj TAKAとTaQによるユニット・OutPhaseの「quasar」「sync」のメロディをなぞり、この日限りのスペシャルメドレーへと発展。学生時代からの付き合いがあるというdj TAKAとTaQは肩を並べて共演し、お互いの熱演を讃え合った。その後はVirkato Wakhmaninov名義の新曲「ピアノ独奏無言歌 "灰燼"」の初披露や、猫叉Masterの代表曲「サヨナラ・ヘヴン」のオーケストラバージョンなどを経てライブ最終盤へ。最後はDJ YOSHITAKAの「FLOWER」が高らかに演奏され、コンサートの全プログラムが終了した。全出演者がステージに集う中、しばらく「BEMANI」関係の仕事から離れていたTaQは「ただ今帰りました」と挨拶。学生時代に一緒のバンドに所属していたというdj TAKAとTaQで思い出話に花を咲かせながら、集まったオーディエンスやgaQdanのメンバー、ゲストアーティストたちに感謝の言葉を述べ、一夜限りのスペシャルなイベント「BEMANI SYMPHONY Concert 2022」は大団円を迎えた。
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「BEMANI SYMPHONY Concert 2022」2022年6月12日 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)夜公演 セットリスト
01. JOMANDA~VALLIS-NERIA~Lisa-RICCIA スペシャルメドレー
02. smooooch・∀・
03. murmur twins
04. Fly Above
05. 朧
06. 量子の海のリントヴルム
07. Timepiece Phase II
08. Everlasting Message
09. 海神
10. 流砂の嵐
11. neu
12. Fly far bounce
13. Lachryma《Re:Queen'M》
14. ピアノ協奏曲第1番"蠍火"
15. 恋する☆宇宙戦争っ!!
16. Element of SPADA
17. Idola
18. 世界の果てに約束の凱歌を
19. 凛として咲く花の如く
20. 冥
<アンコール>
21. 天空の夜明け~quasar~sync シンフォニーメドレー
22. ピアノ独奏無言歌 "灰燼”
23. サヨナラ・ヘヴン
24. FLOWER
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