[ワシントン 17日 ロイター] - 米国は24日に感謝祭の休日を迎え、七面鳥など豪華な料理をいっぱいに並べて家族や友人で祝いをする。ところが、全米農業連盟の年次生鮮食品価格調査によると、今年は料理のコストが昨年に比べて20%も上がる見通しだ。
天候要因からロシアのウクライナ侵攻、企業の利益最大化まで、値上がりのさまざまな原因を嘆いてみても、同連盟が1986年に感謝祭の調査を開始して以来、最大の上昇率であるという事実は揺るがない。昨年も14%上昇と、今年に次いで過去2番目の上昇率だった。
七面鳥とその詰め物、グリーンピース、サツマイモ、クランベリー、パン、パンプキンパイといった「典型的な」感謝祭料理10人分のコストは、2020年に46.90ドルだったが、今年は64.05ドルと、3分の1以上も上がっている。
同連盟のチーフエコノミスト、ロジャー・クライアン氏は「これほど値上がりすると、一部の家庭にとって負担が重いことは疑いの余地がない」と言う。ただ、感謝祭当日が近づくと値引きされて、コストが下がる可能性もあると指摘した。
10月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で7.7%上昇した。上昇率は今年、一時9.1%に達したこともある。
食品価格の上昇スピードはさらに速く、8月の上昇率は前年比13.5%、10月も同12.4%と高止まりした。これまで一貫して物価の伸びが所得の伸びを下回ってきた一部の家計にとっては、ショックな出来事だ。
国勢調査によると、値上がりで十分な食品が確保できないと訴える家計の割合は2021年8月の7.8%から、10月初めには11.4%に拡大した。
サンフランシスコ地区連銀のデーリー総裁は先週、「生鮮食品店を今訪れると、どの店でも客は何を削ろうかと考えている」と述べ、感謝祭ディナーへの招待人数を減らしたり、料理の内容を変えたりする必要に迫られていると説明した。
<七面鳥の詰め物>
米国で鳥インフルエンザが流行して七面鳥が減ったことも、価格高騰の一因だ。供給量は十分だが、鳥のサイズが小さくなったのと飼料価格の高騰が相まって、同連盟が10月18─31日に224店舗で実施した調査によると、感謝祭用七面鳥の価格は21%上昇して1ポンド当たり平均1.81ドルとなった。
七面鳥の値上がりは、感謝祭料理全体の価格上昇分である10.74ドルの約半分に寄与している。最も上昇率が高いのは七面鳥料理の「詰め物用セット」で、69%も値上がりして3.88ドルとなっている。
食品全般にわたり、燃料と肥料価格の高騰が影響しているとオーバーン大学のウェンデイアム・サワドゴ農業経済学教授は話す。例えば、アラバマ州の果物農家の一部は今、1エーカー当たりの肥料コストが1000ドルと、2018年の約600ドルから大きく上がった。 「ウクライナと欧州がしばらく肥料を生産しておらず、それが大きな原因だ」という。
新型コロナのパンデミック中に、生鮮食品店の利ざやが拡大したことも価格上昇に影響している。食品業協会のデータによると、生鮮食品店の税引き後純利ざやは、2015年から19年まで1.2%前後だった。
それが20年には3%、21年には2.9%となった。1984年の調査開始以来、最も高い水準だという。
同協会のバイスプレジデント、アンディー・ハリグ氏は、パンデミック初期にレストランが閉まり、家庭用の食品需要が高まったことなどから、食品店が利ざやを拡大しやすくなったと説明した。
もっともハリグ氏は、利ざやは業界の長期平均である1─2%に戻っていくと予想。レストランが回復し賃金が上昇しているため、利ざやは既に低下している可能性が高いと語った。
<直前に値下げも>
米政策当局としても、生活必需品の値上がりは最重要事項として注視している。航空運賃と燃料価格は足元で下落し、少なくとも感謝祭に伴う移動の交通費は一時より低下しているのかもしれない。
加えて、感謝祭直前になれば小売店が値下げに動く可能性もある。
ウォルマートは今月、感謝祭用商品の価格を昨年の水準に据え置き、これをクリスマスまで実質的に続けると発表した。七面鳥はポンド当たり1ドル未満で販売するという。
七面鳥の価格が下がると消費者は店舗に足を運ぶことが多いため、祝日が近づくにつれて値引きは活発化するものだ。農業連盟は、冷凍七面鳥の価格が今週、ポンド当たり0.95ドルまで下がっていると指摘した。
(Howard Schneider記者)
from "豪華な" - Google ニュース https://ift.tt/MjcOB8q
via IFTTT
Bagikan Berita Ini
0 Response to "アングル:インフレ下の米感謝祭、七面鳥など食材コスト2割上昇 - ロイター (Reuters Japan)"
Post a Comment