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【IT企業幹部・厚切りジェイソン】アメリカの営業マンが外回りせずに2億円稼ぐ理由 - Newsweekjapan

<IT企業幹部でもあるお笑い芸人・厚切りジェイソンが語る日本とアメリカの営業手法の違い。本誌「コロナで変わる 日本的経営」特集より>

新型コロナウイルスの流行によって、最も影響を受けた職種の1つは営業職だろう。日本では人と人との関係づくりが重要とされ、顧客と対面での売り込みが基本となってきたからだ。だが、こうした慣習は世界共通のものなのか。

お笑い芸人の厚切りジェイソンは、IT業界で働くビジネスマンというもう1つの顔を持つ。アメリカの大学在学中にインターンとして日本企業で働いた後、アメリカに戻ってソフトプログラムの技術者として就職。さらにはクラウドコンピューティングの業界に移り、現在はベンチャー企業への投資・育成事業を行う企業の役員を務めている。

その中で多くの日米企業と関わり、技術者や投資家の立場から営業をする側・される側の両方を経験してきた彼に、日米の「営業」の違いを本誌・藤田岳人が聞いた。

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――日米で、営業活動の手法に違いはあると思うか。
自分の経験から感じたことしか言えないが、アメリカは人よりもモノを重視する。これを使えばこれだけ業績が伸びるとデータで証明できれば営業の方法に関係なく売れるし、モノが悪ければどんなによい営業マンでも売れない。日本はモノより人が大事で、よいモノでも信頼している営業マンからでなければ買わないし、逆の場合もあり得る。

アメリカは企業同士の競争が激しく、最先端のよいモノを競合より先に使わなければ生き残れないという意識があるからだと思う。また日本は最先端のモノについて、まずは他社が使うまで待って、状況を見てから自社も導入するかを検討する印象がある。アメリカで成果を出していたクラウドサービスを自分が日本で紹介したときも、日系企業は「うちはまだちょっと」という反応で、1件も売れなかった。

――日本企業は新しいものの受け入れに抵抗があるのか。
例えばクラウドの売り込みでも、アメリカ企業ではウェブサイトにログインするだけで使える形態のものを、標準の仕様で使おうとする企業が多かった。導入に時間もコストもかからないし、サービスのメリットを全て受けることができる。それを使うことで、何ができるかを一から考えるという発想だった。

日本の場合、クラウドを使って自社がこれまでやってきたことをどう再現するかという考え方だった。そのため細かくカスタマイズすることも求められたが、そうするとメリットが消えるので、結局は魅力的に見てもらえなかった。

――まずは自社のやり方が最優先されるということか。
それは日米の社員教育の違いにも表れていると思う。アメリカは即戦力を求め、新入社員が大学で専攻したものをすぐ生かそうと考える。日本では会社のやり方があるので、どんな専門分野であっても一から教え直す。会社の文化を大事にする印象がある。

もちろんこれには、社内の団結力が強まるなどよい面もある。アメリカでは会社の業績が落ちたり、1円でも高い給料を提示されたりすれば、すぐ競合他社に転職する。

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